Interview: BIG-GAME

2015.07.06 / Interview by Laura Houseley big-game, interviews,

スイスを拠点に活動する、グレゴワール・ジャモノ、エルリック・プティ、オーギュスタン・スコット・ドゥ・マルタンヴィルの3名からなるデザインユニット、BIG-GAME。彼らが生み出すのは日常の道具としてよく考え込まれたインダストリアルデザイン。2016/ projectBIG-GAMEは、高度な技術を用いた素材と、有田だからこそ可能な手法を探っています。

 

- このプロジェクトが始まる前に、日本の磁器について何か知っていることはありましたか?

ごくわずかな事しか知りませんでした。有田焼との初めての出会いは、3年前のミラノでのエキシビションで1616/ arita japanを見た時です。製品のクオリティの高さ、特に柳原さんがデザインした釉薬なしで仕上げられた機能的なテーブルウェアには驚きました。それは、信じろと言われてもあり得ないと思ってしまうようなこと。彼らと一緒に仕事がしたいと強く思いました。

 

- クリエイティブブリーフで、何か特にこんなことに力を注いでほしいなどの要望があったのでしょうか?

私たちは特殊な窯と組み、若い事業主と協働することになりました。この窯は、設備は典型的なものなのですが、工業製品レベルとしては最高水準の磁器を生産しています。シンプルに見える作業場で全ての作業が行われています。

 

- 有田ではクラフトとテクノロジーがとてもよく結合している。これがあなたたちが有田で発見したこということでしょうか?

何もかも想像を超えていました。ここで可能な技術は驚くべきもので、たとえば、有田では射出成形が可能です。このプロセスに私たちは今まで出くわしたことがありませんでした。2016/ projectでわたしたちは、先進的な技術を用いながらもハンドメイドのプロセスを感じるようなコレクションを考えています。一緒に取り組んでいる窯の小さな作業場では、年を重ねた職人が手作業で忙しく仕事をしているように見えるかもしれませんが、実は彼らは信じられないほどハイテクな作業をしているのです。

 

- そのハイテクなプロセスや素材をどのようにデザインに取り込んでいますか?

パートナーである窯が持つ素材やプロセスを、私たちは探求しなくてはならないということは最初から明確でした。窯はマットで多孔性のフィルターとして使用できる特別な素材を製造していて、コーヒーフィルターなどに使用されています。また、彼らは耐熱の磁器も製造しています。これらのとてもハイテクで先進的な2つの素材を用いて仕事をすることが、私たちに何をするべきかを指し示したように思います。わたしたちはこれらを組み合わせてキッチンやテーブルまわりのコレクションを作る予定です。2016/での私たちの仕事は、素材とプロセスのリサーチというエレメントを内包し、最終的なコレクションは与えられた素材のクオリティの高さを証明するものになるでしょう。

 

- いわゆるBIG-GAMEらしいプロダクトとはどのようなものなのでしょうか?

私たちは常にできるだけプロダクトの背景を理解するよう努めています。また、常に関連性を持たせるようにもしています。このプロジェクトでは、プロダクトが機能性のみならず技術的能力を併せ持つよう注力しました。

 

- あなた方の仕事は、実用的な道具やオブジェクトである傾向がとても明確ですが、このプロジェクトはその考えに当てはまっていますか?
私たちがこれまでにデザインしてきたものはどれも日々の生活のための道具です。


- 有田での仕事で驚いたこととは?

新しいこと、新しい方法を考案することなどにとても熱心な窯元ばかり。普通、古く確立された会社にはその会社のやり方があって、デザイナーはそれに従うような形で仕事をしなくてはなりません。でもここでは、決して“no”がないし、わたしたちがやりたいと思うことに対して、窯元は常にオープンでいようとしてくれていると感じます。