Interview: Teruhiro Yanagihara

2017.01.20 Interview by Kanae Hasegawa interviews, teruhiro yanagihara

国内外のデザイナーとともに有田焼の未来を切り開くプロジェクト「2016/」プロジェクトが立ち上がったのは2013年。3年越しで進めてきた新たなプロダクト約400アイテムが完成し、販売開始となった。クリエイティブディレクターとしてプロジェクトを取りまとめてきたデザイナーの柳原照弘さんに「2016/」の今後の展望について尋ねた。

  

- 国内外16組のデザイナーと有田の窯元10社、商社とが取り組んできた新しい有田焼の製品が西武そごうで販売開始となりましたね。手応えはいかがですか?

新製品についての情報というのは、その製品が完成して販売されるときに初めて知るというのが一般的です。しかし「2016/」では、プロジェクトがスタートした時から製作のプロセスをメディアを通して随時発信してきました。そして、まだ製品完成1年以上前の2015年のミラノのデザインウィークの期間中には、途中経過の形でプロジェクトの概要を紹介し、2016年のミラノのデザインウィーク期間中に完成間近のプロトタイプすべてを展示しました。そうしたことで販売開始前から世界の人がARITAの新しい製品について情報を得ていたことは大きかった。2016年の秋、販売開始となったとき、すでに「待っていました、やっと買うことができる」という体制になっていたことはこれまでのものづくりとは大きく異なります。売上にも大きく影響しました。

 

- 最初の販売先を西武そごうにしたのはなぜなのですか? 単なる売り場を提供しているという姿勢ではなく、私たちのものづくりの一端を担っている気持ちで売ってくれる販売店を求めていました。製品を作った有田の窯元もデザイナーも、お店に張り付いてお客さんに説明することはできないわけですから、私たちが手塩にかけて作ってきた製品を最終的にお客さんに伝えてもらうことは販売店の担当者に託すことになります。西武そごうは「2016/」プロジェクトが始まって間もないころからバイヤーの方が何度も有田を訪れ、製品づくりの様子を見てプロジェクトの意図を理解してくれました。それこそまだどんな製品が出来上がるのか分からない段階から「製品が完成したら売る役目はぜひ西武そごうでやらせてもらいたい」と熱意を示してくれたんです。作る私たちと同じステークホルダーとしての意気込みを持ってくれています。

 

-2016/」プロジェクトは有田焼誕生400周年を記念した佐賀県の公的事業として資金面で支援を受けてきましたが、2017年以降、支援がなくなってからも産業として継続していくことが重要です。今後の展望をお聞かせください。

日本国内はもとより、海外での販路を広げていくことが重要になります。その点で言いますと、プロジェクトに関わってきた海外のデザイナーが自らプロモーター役を担ってくれ始めているのがうれしいです。プロジェクトにはオランダ、ドイツ、スイス、スウェーデン、アメリカなど様々な国のデザイナーが関わっていますが彼らが売り込みたくなるような有田焼が出来上がったんだと自負しています。これほど心強いことはないですね。今後は海外でARITAと言えば磁器とすぐに認知されるようになることが目標です。