Interview: Christien Meindertsma

2016.02.07 Interview by Laura Houseley christien meindertsma, fujimaki seitou co., ltd., interviews

オランダ人デザイナー、クリスチャン・メンデルツマは、とても多くの時間を素材のリサーチに費やす。非常に評価が高くアワードも受賞したプロジェクト「Pig 05049」では、1頭の豚から作られるさまざまなプロダクトを調査し、記録にまとめている。今回、有田のプロジェクトで経験したことや、彼女が作ったユニークなコレクションにインスピレーションを与えたものについて語ってくれた。

 

- あなたの「2016/ 」のデザイン。スタート地点はあまり普通ではないように思います。そのことについて聞かせて下さい。

オランダ東インド会社が日本からヨーロッパへ磁器を輸入していた時期に、オランダのリネンが日本の将軍の元に渡っていたと、以前本で読んだことがありました。これがとてもおもしろいと思いました。なぜならこの時代、リネンは日本の磁器の下に敷かれて絵画に描かれていたからです。磁器とリネン、この二つの強い結びつきを感じました。当初、自分の磁器を作る際に、わたしは実物のリネンをそのまま使いたいと考えていました。ただ、製造の過程でリネンをそのまま使用することが非常に難しいと分かり、リネンの形状をインスピレーションとして用いてデザインすることにしました。


- 協働した窯元は、あなたのデザインプロセスにうまく適合してくれたのでしょうか?

はい。藤巻製陶との仕事はとても楽しかったです。現在10代目である藤本さんがもともと私の仕事を知っていたことにはとても驚きました。でもとてもよかったと思います。彼はまだ若く、未来を見ている。会社を前進させたいと考えていて、新しい取り組みを決して恐れない人でした。
初めて有田を訪れたときたくさんの窯元を訪問しましたが、藤巻製陶のことは特によく覚えていました。とても感じがよく、素晴らしい雰囲気を持っていたからです。

 

- Pig 05049」や「The Bottom Ash Observatory」のようなプロジェクトにおいて、非常に多くの時間をリサーチに費やしています。今回もそのような方法で取り組みましたか?

今回の有田のプロジェクトは、タイムフレームが短いものでした。いつもなら職人や工場と多くの時間をコミュニケーションに費やしたり、メーカーと直接やりとりをする時間を多く持ちます。今回はなかなかそうすることが難しく、人を介してコミュニケーションをしなくてはならない、という全く違うプロセスになりました。


- 量産を想定したデザインプロセスを導いていかなくてはならないということが、このプロジェクトの重要なポイントのひとつですが、これについてはどのように取り組みましたか?

何かを生産可能にするために、解決策を見つけたり妥協案を作ることは、必ず必要なことだと経験しています。それらは最初のデザイン案の一端でない時もあります。私たちは、美しいけれど、使い道がなかったり製造できないようななものを簡単に作ってしまうことはできるかもしれないけれど、これは目指すところではありません。

 

- 多くのプロジェクトで、あなたは素材に何度も何度も立ち返って取り組んでいます。今回取り組んだ磁器という素材についてもあなたは同じようにするのでしょうか。

もちろん。磁器でもっといろんな事をしてみたいと思っています。学ぶべき事が非常に多かった!私は、難しくもなりうるし、強みともなりうるこの磁器という素材には経験が浅いです。デザイナーとして、マテリアルの一番の可能性はどこにあるか、解決方法がどこにあるかを常に探しています。しかし同時に、時々全てを知らない方がよい場合もあるのではないかとも思います。