フローレンス ・ ドワイヤー

スコットランド美術学校卒業。フローレンス・ドワイヤーの作品はインスタレーションを中心に陶器やテキスタイル、家具などが用いられ、それらの造形から制作、実際に使用するまでのプロセスに潜む力学へのリサーチが創作の源になっている。 暮らしにあるデザインやさまざまな生活様式に添いながら、特にクラフト、産業や労働者の慣習に向けられた視点と日常生活との関係性や歴史を紐解くフローレンスの手法は、近年、1940年代から使われなくなったまま保存されているグラスゴーのThe Tenement House Museumが行うアーティスト・イン・レジデンスプログラムでも用いられた。そこでは使い残された石けんや着古した衣服などのアーカイヴ品から滲む生活の痕跡を辿り、周囲へのインタビューや「家」にまつわる会話を重ねることで居住者の個人史を浮かび上がらせ、モノや素材の起源から建物への繋がりまでを内包する自身への創作に結実させている。
これまでの展覧会に「I remain Yours」(The Tenement House, Glasgow, 2018)、「Village College」(The Lighthouse Glasgow, 2018)、「Reel Meal」(David Dale Gallery Garden, 2017)など。2018年「Inches Carr Craft Award」、2017-18年「Glasgow Life Visual Arts and Crafts Mentoring Award」受賞。

Project in Arita

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  • Period of Residency : January to March
  • Sponsor : 平成30年度 文化庁 アーティスト・イン・レジデンス活動支援事業

レジデンス開始からまずドワイヤーは東京に滞在した。江戸期に庶民のために作られた長屋のデザイン、またその社会的影響について考察した。当時、人口密度が高くなってきた都市部において、住人同士が密接するような長屋の暮らし方はある種のコミュニティを形成していた。そのような暮らしの環境でどのように工芸文化が根付き、この時期に築き上げられたであろう現代日本社会にみられる協同精神の基盤がどのように根差していったのか。彼女の創作的思考の軌跡はこのような足取りで完成へと向かう。そしてそれは必ずしも完了するものではく、人、場所、文化を変えて終わりなき探求が続く。
その後、有田に場所を移し最終的に彼女が制作した作品は象徴的な形をした香水瓶シリーズである。十社という有田の中でも特に高品質の磁器を製産する大きな工場でアーティスト自身が作業デスクを置き、掃除や焼成前の拭き取り作業を女性従業員等と一緒に行った過程でこの構想に着いたのだという。陶芸と綺麗にする習慣と労働が重なり合う、そのような背景を象徴した磁器製香水瓶のコレクションが誕生した。あるものは古代ローマのお香用フラスコ瓶の形を参考にし、ペニシリンの開発者ノーマン・ヒートリーがデザインしたペニシリン用容器を模したものもあり、さらには資生堂の初期の香水瓶の形など多様なコレクションとなった。

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