インガー・スィフ・ハッセン

アムステルダムのGerrit Rietveld Academy で国際環境を学ぶ経験を通して、インガーは、世界中のアーティストたちとの繋がりを築くことができました。その時代の仲間たちとのコラボレーションは今でも続いています。陶芸の道を模索しながら大学院での最後の数年間を過ごし、卒業後にオランダOisterwijkのヨーロピアンセラミックワークセンター(EKWC)のレジデンスに受かりました。それにより、作家は陶芸を更に学びました。センターのスタッフからの専門的な指導と援助で作家が望んだスケールでプロジェクトを実現する事ができたのです。

その後はデンマークのコペンハーゲンに住んでいます。ここではいくつかの展覧会に参加し、他のコペンハーゲン在住のアーティストたちと一緒に陶芸作品を展示しました。コペンハーゲンの現代アートの二つの美術館の展覧会にも同様に参加しています。現在コンクリートや銅等、異なる素材を使った鋳造を研究しています。そのことが、有田で制作する「 Torx 2000 花瓶コレクション」プロジェクトにおいて、陶芸の分野に再び取り組むきっかけになりました。

グローバリズム、アイデンティティ、そして文化財の商品化がインガー スィフ ハッセンの作品の主なテーマです。世界的に流通している対象物を翻訳し、その起源について改めて考えることが彼女の芸術活動です。2016年にGerrit Rietveld Academyを卒業して以来、作家が描いた描画をオブジェ、演劇、ビデオに置き換える作風を確立しました。自身のドローイングを彫刻作品におこして解釈します。私の作品を活性化させる手段として、大きなインスタレーション作品やパフォーマティブなビデオ作品等異なるメディアに直観的に参加することは作家にとって自然なことなのです。作家は役者と彫刻家の両方の分野の講師も行っています。

インガーのインスピレーションは巨大建造物、宗教的な装飾品、ポップカルチャーの歴史的な出来事の中に存在しています。研究はしばしばアートとデザインの両方にまたがり行われます。日常の生活でだれもが目にするような対象物のデッサンをしながら、その対象物の機能に対して疑問を提示します。例えば、煙たばこのパイプを2.5メートルのレンガ模様の陶芸品として制作したり、近作では、壊れやすいコルクボードの擦り切れで裁縫品を作りました。

 別の近年の作品である、コンクリートのレリーフでは、デザインの考古学者というアイデアを試みた作品です。デザインと、考古学、この二つは相反する言葉です。考古学において、歴史の遺産は発掘され、修復され、そして過去の風景を再現します。その一方でデザイナーの仕事は未来のためのイノベーションと解決策を作り出す事です。

私は自分の作品においてこの異なるエクスカベーション(発掘)とイノベーションという緊張関係を内包しようとしたのです。考古学者といっても、作家のスタイルは歴史書を深く読み解くことではなく、対象に選ばれた宗教的あるいは装飾的なものと大衆文化的なもの、両方のポットの破片を自由に調べ、そこから何かを発明する、そんな考古学者なのです。

Project in Arita

  • Period of Residency : September to November

有田の磁器が誕生した場所で、陶芸の世界に携わりたいと考え、有田のクリエイティブレジデンスに応募しました。その磁器の粘土に関する知識を学び、陶芸家の方との仕事を通して技術を学びたいと思います。2017年の秋、作家はオランダ、Oisterwijkのヨーロッパ陶芸センター(ECWC)のレジデンスアーティストでした。3か月に及び早朝から夜遅くまで陶芸にうちこみ、新しいタイプのアイデアが次々と生まれるような心の状態を体験しました。このような心の状態は作家自身の芸術的な過程の中で現れる特有のものです。有田のクリエイティブレジデンシーでまたこの心のゾーンに入ることを望み、この応募の機会を活用したいと考えています。
地域のコミュニティに参加し、陶芸家の地域を訪問し、その土地の伝統的な陶芸家の方たちの職人技を学びたいと思います。私の作品に関する対話、プレゼンテーション、そしてワークショップでの他のアーティストとの共同作業を通し、日本の伝統とスカンジナビア人的なデザインのアイデアの交流を作り出したいと思います。

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